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子宮頚癌ワクチン その後

 2015年11月14-15日第19回日本ワクチン学会が開催されました。その演題中の記事です。大阪大学差婦人科 八木麻未氏は、2015年5月に小学1年から高校1年までの娘を持つ母親2060名のアンケートを行い興味ある結果を報告しています。
 現在積極的接種勧奨が中止させられている子宮頚癌ワクチンを、無条件に希望する意向を持つ母親は全体の0.2%で、自治体の方針で勧奨接種(現在の麻疹・風疹ワクチンや四混などと同じ扱い)になれば接種と答えたのが3.9%、周囲に接種の動きがあれば接種を希望するが16.9%でした。一方絶対接種しないが15%でした。
 実際、多くの母親はワクチン接種のデメリットを知りません。割合でいっても、日本の4年間の経験で99.993%はなんの障害もありませんでした。ただし約2500人の方々が、異常ありと報告しています。ほとんどが、関節の痛みやしびれです。0.007%の副作用すべてが重篤なものではありません。
 子宮頚癌にかかった場合は、この限りですまないことは容易に想像がつきます。早期では子宮温存も可能ですが、進行すれば子宮摘出に至ります。日本人の問題先送り体質が如実に出ている問題です。あえて絶対拒否のグループをのぞき、再開すべきではないかというのが八木氏の主張です。傾聴にあたいするものと考えます。
(文責 院長・若杉 直俊)