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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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性転換の話

 ネットで話題の ドミニカ共和国・サリーナス村をご存じでしょうか。この村には思春期を迎えると、それまで外形が男の子であったのが ふっくらとした女性の体型になったり、逆の女の子から男性に変化する例が数百例 報告されています。これは、外科的な処置を施したのではなく、成人に達すると本来の性がはっきりしてまるで性転換したような事態がおきているのです。元来子どもは男女とも同じような体型をしていますが、性ホルモンの増加で思春期以後に男は男らしく 女は女らしい体型になるのです。サリーナス村は近親での婚姻が多く、小児期には外形的に逆の性の特徴をもつケースが多く生まれているのであろうと推察されています。
 性器の原基はミューラー管といって、自然の発達にまかせると女性型になります。ここに男性ホルモンが多く曝露すると男性型になります。魚のタイは幼魚の時は 前部メスであり途中でオスに変わるものが出るとされていますが、これもホルモンの影響です。
 ホルモンは、微量で性を決定し、血糖を安定し、成長を促し、等々 人間の活動に決定的な影響を及ぼします。最近オキシトシンというホルモンがよく話題に取り上げられます。視床下部・視索上核から分泌され、陣痛の開始の引き金にもなり乳汁分泌をも助けますが、妊婦が出産後嬰児に強い愛情を持つのにもこのホルモンが関与するようです。また男女が互いに愛情を深めあう作用ももつようです。紛争のただ中にあるとき、このホルモンは低下しているようです。中東の紛争当事者に、このホルモンをわけてあげられないでしょうか。(文責 院長・若杉 直俊)