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自信とポーズ

 2015年4月14日 NHKのTV番組スーパープレゼンテーションで、米ハーバード大学の社会心理学者エイミーカディが 2分間自信あるポーズをとるだけで成功が導ける、との内容を放送していました(興味ある方は、インターネットを用いて「エイミーカディ」で検索してください)。その内容は、動物でもヒトでも自信があるときは体を大きく見せ 不安なときは縮こまることから、心が不安なときに逆に無理してでも自信あるポーズをとることで不安を克服できるというのです。その際唾液検査をすると心がポジティブなときにでるテストステロン分泌が上昇し、不安なときにでるコルチゾール分泌が減少することが証明できたそうです。
 その仮説の真偽は筆者には不明です。ただ興味あるのは、彼女ら心理学者が自信と不安の指標にコルチゾールとテストステロンを選んだことです。テストステロンは代表的な男性ホルモンで、戦いにのぞむ戦士においては過剰に分泌されるホルモンです。コルチゾールは代表的な副腎皮質ホルモンで、たとえば体に攻撃がふりかかるアレルギー疾患の治療にも用いられる肉体を癒やすホルモンです。いずれどこかでホルモンのお話をしますが、ホルモンはごく微量でヒトの活動をコントロールします。免疫系に働くことで、ヒトの健康を守る働きもあります。ただし、それが単なるポーズをとるだけで分泌されるという説には驚きすら感じます。心理学者の仮説が医学的に正しいかは不明です。でも、とてもおもしろい理論だと感じました。
 不安や悲しみを克服する精神治療のなかに、行動療法といって徐々に自分の苦手な面を克服する治療法があります。これなどは、エイミーカディの理論とも結びつくかと思います。人体の不思議な一面なのでしょうね。 (文責 院長・若杉 直俊)

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