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手足口病流行の兆し

 関東地方で手足口病流行の兆しが出ています。手足口病は代表的な夏かぜで、乳幼児を中心に夏季流行します。ここ数年はあまり大きな流行も見られませんでしたが、6月22日から28日の1週間の調査で 北関東の群馬で前週比60%増の7.48人 栃木で2倍増の7.52人と報告されています。埼玉も4.91人でした。
 この数字をどう読むか。小児科を専門に標榜している医療機関のうち、保健所で指定された医療機関では日々流行性疾患の患者数を集計し、週ごとに保健所に報告します。1週間で来院した数字を平均し、5を超えるとその地域に感染警報がだされます。週5日の診療で 1日平均1人以上の来院があることを示します。
 手足口病は、コクサッキーA16 エンテロウィルス71が主な病原ウィルスです。口腔粘膜 手掌 足底などに水疱が出ることが多いようです。1歳未満の児では、口が痛いとミルクも飲めず脱水で入院が必要になることもありますが、多くは4-5日で治る病気です。ワクチンはありません。鼻水や唾液を介して、子ども同士に感染が拡大します。昔は2-3日高熱を発した例がおおかったですが、最近はあまり高熱例がみられません。しかしこのウィルスが心筋に侵入して心筋炎を合併したり、まれに脳炎を併発することもあります。
 過度な警戒はいりませんが、子どもの手洗いやうがいをうながしてください。そして手足口病をうたがったら、医療機関の受診をお勧めします。(文責 院長・若杉 直俊)

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