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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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コーヒーと健康

 最近の健康志向の時代、体によいといわれる食品がすぐ出回り、ブームが去ると捨て去られる状態を何度も経験しました。十数年前 みのもんたの昼の番組でとりあげられた食品が、その日の夕方に売り切れ続出というブームも経験しました。そのての話題かと思われる方もいるかと思いますが、2015年12月の権威ある米国医学雑誌 Circulation にハーバード大学のグループが、1日にコーヒーを1-5杯飲む人々は、コーヒー嫌いの人々に比べて明らかに死亡リスクが低いことを多くのデータから導きだし発表しました。
 いままでもコーヒーと健康の関係は言われてきましたが、今回の研究では女性9万人男性4.5万人を30年近くフォローしたあとの結論です。結果は、コーヒー非接種群にくらべ、1日1-5杯接種群が死亡リスクの低下がみられました。死亡ハザード比(少ないほど死亡しない)は、1日1杯以内が0.94 1.1-3杯が0.92 3.1-5杯が0.85 5杯以上が0.88でした。コーヒーはカフェリン入り、カフェイン抜き両方に同じ傾向が見られたそうです。
 また、タバコを吸わない群ではコーヒー摂取で循環器疾患や自殺を減らし、ガンはあまり相関しなかったそうです。最近日本で、眠気覚ましのカフェイン製剤の過剰摂取で死亡例が確認されましたが、コーヒー数杯のカフェインではそのような事は報告されていません。適量なコーヒー摂取は健康によいといえるのではないでしょうか。
(文責 院長・若杉 直俊)