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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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治療用ミルク

 21回目の話題で、栄養と病気について話しました。その際、先天性代謝異常の治療としてのアミノ酸除去ミルクの話もしました。今回はその続きです。
 乳業メーカーは、一般乳児用のミルクのほかに先天性疾患に対応するミルクを製造販売しています。対応する病気は概ね日本全体で数百から数千人しかいません。そのなかの乳児期におけるミルク供給ですから、メーカーも採算はとれず社会的な貢献として生産を継続していただいているのが現状です。ご興味のある方は、治療用ミルク応援プロジェクト(http://milk.main.jp)をご覧下さい。
 日本小児科学会の中には、この治療用ミルクを安定的に供給できる体制をミルクメーカーと一緒に作り上げる委員会があります。その委員会は4年前にも全国的なフォーラムを開催し、広く一般の方に理解を広げる活動をしています。今年も2回目のフォーラムを予定しています。
 そのシンポジストには、ただ代謝異常の研究者だけでなく、小児腎臓病の専門家・てんかんの専門家・患者側代表・メーカー側代表など多岐にわたる方が出席して、われわれ専門外の医師だけでなく一般の方にも理解できるような内容になるようです。
 たかがミルク、でもそれが命の綱となる子どもたちが少なからずいることを多くの方に理解していただきたいと思います。(文責 院長・若杉 直俊)