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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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高血圧

【高血圧】
 高血圧は生活習慣病の代表的な疾患です。推定で日本全体に4300万人の高血圧患者がいるとされています。高血圧の診断基準は、65歳未満で130/85mmHg以上 65歳以上で140/90mmHg以上とされています。さらに高血圧には 遺伝性が関与される本態性高血圧と二次性高血圧があります。二次性高血圧の原因は、腎臓機能の悪化によるもの、副腎腫瘍や下垂体腺腫などが原因のホルモン性のものなどがありますが、ほとんどの高血圧は本態性です。
 高血圧発症のひきがねとして、運動不足・肥満 塩分過剰 高脂血症などの基礎疾患 ストレスなどがあげられます。このうち 塩分についてですが、南米アンデスで暮らすヤノマミ族は塩分を一切摂らないそうで、高血圧患者が皆無とのことです。日本人は塩分を1日平均11g摂取しています。厚生労働省は、これを7g以下にするように勧告しています。最近はレストランでもカロリーとともに塩分表示がされています。7gは無理でも、少しでも塩分を控える努力はしたいものです。高脂血症は、血管の内皮下に脂肪を主にしたプラーク(一種のゴミ)をためこみます。これにより血管腔がせばまり血圧が上昇します。
 治療は、上記生活習慣をあらためた後それでも血圧が高い場合 薬物内服となります。糖尿病の話の時も記しましたが、この30年間降圧剤もずいぶん新薬が開発され6-7種類以上の異なった薬が用いられています。戦後すぐは、尿をたくさん出す利尿剤のみが降圧剤として使われていましたが、カルシウムの血管収縮作用を防ぐ抗カルシウム系の薬が主流になり、その後ヘビの毒から抽出される抗アンギオテンシン変換阻害酵素薬なども30年前から導入されています。これがさらに発展してARBと呼ばれる薬へ進化し、現在はこれが主流になっています。ちなみに新聞等で話題になっている「ディオバン」という薬はこの系統です。ディオバン自体はよい薬ですが 販売の仕方に不正があったようです。
 健診などでは、必ず血圧を測定します。家庭でも血圧計を購入すれば簡単に測定できます。高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、放置しておくと確実に脳出血や脳梗塞 心筋梗塞等の病気を併発します。もし血圧が高い方は、医療機関で相談してください。
(文責 院長・若杉 直俊)