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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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経鼻式インフルエンザワクチン

 毎冬季流行するのがインフルエンザで、2015/2016の流行も4月下旬をもって終息しました。当クリニックのホームページ1面でも書いているように、手洗いうがいと適度な休息そしてワクチンが予防に重要だとしています。
 そのワクチンですが、13歳未満に2回、13歳以上には1回注射します。特に乳幼児は痛がってかわいそうと思われますが、ワクチン未接種で罹患すればもっと大変なのはご存知のとおりです。そこで注射ではない鼻からのスプレー式で接種できるか検討されていますが、まだ日本では認可されていません。海外ではすでに使用されていますが、予防効果が確実でなければ無駄なワクチンとなります。
 実は日本でもこのスプレー式ワクチンが可能です。ただしそれは、ネットなどで広告をだしている一部の実施医療機関が海外から輸入して、そこでのみ出来るのです。当院ではどうか。実施していません。その理由は。
それは2013/2014のAソ連(H1N1)流行時スプレー式であまり効果がでなかったことから、2014/2015のA香港(H3N2)流行での効果をアメリカ疾病予防センター(CDC)が不活化ワクチン(注射ワクチン)と比較しました。その結果予防効果がスプレー29%に対し注射60%と明らかにスプレーの効果が低いことが報告されているからです。
実施医療機関を誹謗中傷するつもりはありません。保護者がその薬効を理解した上で接種することを妨げるものでもありません。むしろ改良が加えられればおおいに検討したいと考えています。ただし新しい医療行為はよく理解した上で実施することが重要であることを広くお知らせするためにこの記事を載せました。(文責 院長・若杉 直俊)