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がんゲノム医療中核拠点病院とこれからのがん医療

 抗がん剤キムリアの光と影の話を前回しました。しかしがんの克服は人類の長年の夢です。国立がんセンター研究所・間野博行所長が座長を務める「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」は昨年、遺伝子パネル検査(がん細胞の遺伝子異常を調べる)を行う事で、一人一人に適合したがん医療が提供できる可能性を提言しました。そしてその検査が、今年度から医療保険の対象となります。
その検査が実施できる病院は全国で11カ所、北大 東北大 東大 国立がんセンター中央病院・東病院 慶應大 名大 京大 阪大 岡大 九大 と定められました。そしてゲノム医療中核拠点病院は近隣のがん拠点病院等と連携しながら、すべての国民がこの医療の恩恵を受けることが出来る体制となっています。しかしこの検査が行われるには1回 数十万円かかります。定まった医療費の中でこの検査が医療費を上昇させると、軽い風邪などは保険診療から外されるのではないかと懸念されています。
そうはいっても、この技術による恩恵ははかりしれません。すべて政治家任せにするのではなく、国民一人一人が医療財政と医療新技術に対して目を向けていただきたいと思います。 
(文責 若杉直俊)