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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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温風暖房機

 初夏に入り30℃を超える日もくるようですが、今更温風暖房機などの話題とはいかがかと思いでしょう。この話題をとりあげたのは、日本の小児科医の集まりである小児科学会の学術誌では、毎回子どもの生活環境改善委員会が危険な電化製品やおもちゃなどを会員に速報し、小児科医がこどもの事故を速やかに治療する体制をしいていることをお知らせするためです。
 2016年5月の学術誌では、人形の止め金具で窒息した例と人感センサー付きセラミックヒーターで乳児がやけどをした例が報告されていました。今回は後者を取り上げます。
センサー付きの暖房機では一見機械が停止しているようで、機会を完全にオフにするかコンセントを抜かない限り、ヒドが近づくと温風が出ます。報告例では,4ヶ月の乳児が母親の目をはなれた際その温風を受け、頭皮にやけどを受けたというのです。国民生活センターの検査では、同機種は吹き出し口50cmで40-73℃ 1mで31-54℃あり、十分やけどをおこしうるというのです。
こどものまわりには危険がいっぱいです。事故をうけたお母さんもこの温風機の説明書をあまり読んでいなかったそうです。こどもの事故を防ぐ努力は大人に課せられた大事な使命です。温風機以外にも危険物はたくさんあります。小児科学会誌を読むのは医者ですが、事故情報を得てこどもの治療に備えるとともに、親御さんともども事故をおこさないような指導もあわせて行っていくつもりです。(文責 院長・若杉 直俊)