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線維筋痛症とは

 アメリカの歌姫レディーガガが現在活動中止中であることはご存じでしょう。9月12日の報道で、その病名が線維筋痛症であることが発表されています。それでは線維筋痛症とはどのような病気でしょうか。
1990年 米国リウマチ学会にて疾病概念が定義されましたが、それまでは患者数が数百万人と多いのに診断が困難で放置されてきた疾患です。全身の痛み しびれが特徴で、特に頚部周囲や腰、上下肢の関節部を痛がります。日本でも10数年前から臨床医家にも知れ渡るようになりました。
慢性の痛みとしては関節リウマチが有名ですが、この病気は検査をしてもリウマチに見られる様な検査異常は出ず、レントゲン検査でも問題ありません。原因もまだ不明で、ウィルス感染や手術後の痛みの延長、またけがなども遠因になることがあります。関節リウマチと同様、男女比から見ると女性が5倍以上罹患します。子宮頚癌ワクチンが現在日本では中止されていますが、ワクチン後にこの疾病の症状を呈している方も多いと言われています。
治療としては、鎮痛剤を中心に薬物療法が行われます。プレガバリン(薬品名リリカ)やデュロセチン(サインバルタ)などがよく用いられますが、ほかにもロキソプロフェンのような鎮痛剤、また精神安定剤も併用することがあります。リウマチ専門医による的確な診断のもとに治療計画をたてる必要があります。
まだこの疾患が知れ渡る前は、検査等に異常が出ないためになまけ病とかうつ病とか誤って診断されたこともありますが、正しく認識され適切な治療が必要な疾病です。
(文責 院長 若杉直俊)